2024/11/13

個人事業主が福利厚生費を経費にできる条件とは?

 福利厚生費とはどのようなものか、不動産オーナーを含めた個人事業主は福利厚生費を使えるのか、具体的な条件を提示して解説していきます。

福利厚生費とは

 福利厚生費とは従業員の慰安を目的として、給与や賞与以外で支出する経費のことを指します。社会保険や雇用保険、厚生年金保険などの福利厚生を法定福利費といい、それ以外のものは法定外福利として「福利厚生費」と呼ばれています。

 例えば、従業員がスポーツジムに行くときの月会費は福利厚生となります。スポーツジムに行くことは運動不足解消になり、健康増進につながるためです。コンサートやスポーツ観戦なども、従業員のリフレッシュや親睦を深めることにつながるため、福利厚生になります。

 しかし、福利厚生費として経費性を認められるには、一定の条件をクリアする必要があります。

福利厚生費の条件とは

①賃金ではないこと

 福利厚生は換金性に欠けるものや、物品などの選択ができないものなど、賃金とは異なる性質があるものを導入する必要があります。社員食堂や忘年会など、賃金以外で利益を受けることが要件となっています。

②従業員全員に平等に適用されること

 すべての従業員が平等に利用できることも福利厚生の要件です。事業主や幹部従業員・家族従業員など、一定の者だけが利用できる状態となっているものは、福利厚生費として認められません。

 ただし、従業員本人の意思で福利厚生を利用しなかったため、全員が利用しなかった場合でもあっても、利用できる機会を平等に提供していれば福利厚生費として認められます。

③社会通念上妥当と思われる金額の範囲内であること

 福利厚生の内容があまりに高額である場合は金額の妥当性に欠けるため、福利厚生費として認められません。国税庁のタックスアンサー等による例示では、社員旅行は4泊5日で1人10万円、創業記念品の配布は1万円であれば、社会通念上妥当なものとしています。

個人事業主が福利厚生を利用できるケース

 個人事業主は福利厚生を利用できないというイメージもありますが、もちろん利用できるケースもあります。

家族以外の従業員がいる場合は利用できる

 家族以外の従業員には福利厚生が利用できます。ただし、社員旅行や懇親会といったように、従業員の慰安を目的としたものに限ります。また社会上通念上妥当と認められる費用であれば、雇用主である個人事業主や家族(事業専従者)の参加費も福利厚生費として認められます。

単独経営・家族経営の場合は利用できない

 福利厚生は従業員の慰安を目的としているため、1人で事業を営んでいる場合や、家族のみを従業員としている場合は、福利厚生費を計上できません。スポーツクラブやマッサージなどは、仕事に必要な支出だと考えるかもしれませんが、福利厚生費として認められません。

福利厚生費として認められる内容

①スポーツクラブ

 従業員の健康を維持するために、スポーツクラブの会員費を福利厚生費として計上することができます。ただし、個人事業主や家族(専従者)のスポーツクラブ費用は経費として計上できません

②レクリエーション旅行

 社内旅行のような従業員とのレクリエーション旅行の代金は、福利厚生費として計上することができます。具体的には、以下の条件を満たす必要があります。

社員旅行の
要件

4泊5日以内であること

・旅行に参加した人が全体の人数の50%以上であること

社会通念上妥当な金額の範囲内であること(4泊5日の場合、1人10万円まで

 個人事業主の場合、従業員数名と事業主本人、専従者という構成であれば、事業主本人および専従者分を含めた旅費を福利厚生費として計上することができます。

③従業員の食事代

 従業員が提示外の残業や休日・夜間の勤務をした際にとった食事代金は、その全額を福利厚生費として計上することができます。

 一方で、残業時等以外の一般的な食事支給に関しては、以下の要件を満たす必要があります。

食事支給の
要件

食事代の半分以上を従業員が負担していること

次の金額が1ヶ月当たり3,500円(税抜)以下であること

 (食事の価額)-(従業員が負担している金額)=事業主負担額

 この場合の食事代とは、会社で仕出し弁当代金を発注している場合は業者に払う代金、社員食堂のように社内や職場で作る場合はかかった材料費のことを指します。

④新年会や忘年会などの飲み会

 全従業員が参加する前提の新年会や忘年会などの飲み会の費用は、福利厚生費として認められます。ただし、2次会以降の有志で開催された飲み会の費用は福利厚生費とは認められず、社内交際費として計上しないといけません。

⑤健康診断

 従業員の健康診断費用や人間ドック費用は福利厚生費として計上できます。しかし個人事業主や家族(専従者)の健康診断費用や人間ドック費用は計上できません。

 個人事業主や家族(専従者)が健康診断で病気が見つかり、治療を行った場合には、その健康診断にかかった費用は医療費控除として申請することができます。

まとめ

 福利厚生費は従業員のためのものなので、一人で事業を経営している個人事業主には原則認められません。家族以外の人を従業員として雇っていれば、福利厚生費を計上することができます。

 しかし、福利厚生費として計上できる支出が厳密に定義されているわけではないので、支出の内容によっては「これは福利厚生費として認められるのだろうか?」といった疑問が湧いてくることもあるかと思います。

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